keronote’s blog

本の紹介、英語学習の記録を中心に、PC・スマホ関連、日々の生活のお役立ちネタも交えながら色々と書いていきます。少しでも楽しんでいただけたら、また何かの役に立てれば幸いです。

「継ぐ」ということについて、『星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント』を読んで考える。

芸能界で二世タレントといえば、常に好奇の目にさらされたり、親の七光りだといって厳しく見られたりと、何かと話題に上ります。

 

なぜでしょう。

芸能人は事務所に所属していることが殆どとはいえ、個々人が商売道具であるといえます。

個人の才能ありきだから、世襲とは違うといっても二世タレントはイレギュラー感がつきまとうため、話題に上りやすくなってしまうのだと思います。

 

このように二世といえば芸能界では特別感がありますが、一方で、日本の企業は世襲が多いということを、『星野佳路と考えるファミリービジネスマネジメント』を読んで初めて知りました。

これは、企業全体に占める中小企業の割合が90%以上にも上ることを知っていれば、世襲が多いことも頷けます。しかもそれだけでなく、国民の誰もが知っているような大企業の中でも上場していないファミリー企業が意外と多いのは驚きでした。

 

世襲というのは何となく旧態依然としたイメージがある為、IT技術が発達した現代でも、昔ながらの佇まいをもつファミリー企業が多くを占めていることは、俄かには信じがたかったです。

 

この本は家業を継いだ経営者たちが、どういった経緯で家業を継ぐことになったのかを、星野リゾート代表の星野佳路氏との対談という形で挙げ、そこからファミリービジネスの継承とそこに潜む(孕んでいる)問題点を明らかにするのが目的の本です。

 

幼い頃から自分が家業を継ぐのだという意志の下に進学・就職(すぐに自社に入社する場合、他者で修行の後自社に入社するなどパターンは様々)した経営者。絶対家業は継がないと思っていたのに、転機が訪れ継ぐことになった(決めた)経営者など、道のりは違えども家業を継ぐことになったきっかけ、入社から社長として認められるようになるまでの取組みなどが14人の社長の実話と共に語られています。

 

また、巻末にはファミリービジネスの研究所・参考書、ファミリービジネスを研究する大学・組織、関連する団体とサイトの紹介がされています。

 

私は「継ぐ」ことに対して、大企業や業績が順調な企業ならともかく、何となくマイナスなイメージを抱いていました。

ある程度の安泰は望めるかもしれないけれど、業種を自分では選べないこと、身内だけに経営方針などが異なった場合、陰湿な争いになりそうなこと。伝統を守るということには長けているが、新しいシステムなどの導入には消極的そうだといったことなどです。

 

星野氏は「継げる家業があれば継ぐべきだ」と、強く主張しています。

「自分が興味を持てる分野ではない」かもしれないが、イチから自分のしたい事業を立ち上げることの大変さは想像以上のものだからだと言っているのです。

 

妙なこだわりやカッコつけはやめて、利用できるものは最大限に利用して、自分がやるべきことを見つけ出すことへの価値を提案しているのだと解釈しました。

 

私はといえば、実家で事業を営んでいるわけではありませんが、以前は兼業農家だったため、いくらかの農地があります。

しかしもし継ぐことになったとして一番気になるのは、土地のことよりお墓のことだったりしますが…(;´Д`)

「いい歳」になったのだから、そろそろ本気で「継ぐ」ということについて考えなければ。いつまでも他人事では済まされないぞという潜在的な不安が、こういった本を手に取った理由だと思います。

 

 先日、ライフネット生命CEOの出口氏の本に共感し、ビジネス書は成功体験ばかり書いているから役に立たないという考え方を紹介しました。

それにも関わらずその次にアップする記事がビジネス書だというのも気が引けるのですが…。

 

『本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法』と、私が出口治明さんの著書を読む理由 - keronote’s blog

 

成功・失敗それぞれについて書かれていても、どうしても印象深く残るのは成功体験です。

失敗体験が書かれているからこそ、成功の部分がより強調されやすくなるのだと思います。

そして、強烈な成功体験が自分の場合にも当てはまる訳ではないから、役に立たないというのが出口氏の意見でした。

しかし、様々な人生を疑似体験できるツールとして、ビジネス書を楽しむのもありなのではないかと私は思います。

 

「事実は小説より奇なり」という言葉にもあるように、人ひとりの人生は一見平凡なようでも、傍から見るとドラマティックだったりします。

「ビジネス書から学ぶ」こともありますが、同時に「ビジネス書を楽しむ」くらいの気持ちで読むのが私のやり方です。

 

ただ、この本には「はじめに」はあるのに「おわりに」がなく、その点は拍子抜けでした。

この本の事例をもとに自分で考えて欲しいということなのかもしれませんが、筆者が何を思い伝えたかったのかという言及はされていてもよかったのではないかと弱冠の消化不良感を抱きました。

 

次は姉妹編の『星野リゾートの事件簿』を読み、星野氏が星野温泉から星野リゾートへと社名を変更し、実際にどのような改革を行ったのかを知りたい。

そして「星のや」や「界」に泊まりたいと思うのでした(*´з`)