『脳には妙なクセがある』ことを知ると、生きやすくなることを教えてもらった
▶脳科学は身近で楽しい
「脳のクセ」を表した、全26章のタイトルはどれも魅力的です。
この本には誰もが一度は思ったこと、考えたことがある脳の疑問が提示されているので、
「おっ、この現象はどのような仕組みで起こるのだろう。」
と、ワクワクしながら読み進めることができました。
しかし、敷居は高くないけれど、脳科学の本なので専門用語も使われているし、身近なテーマとはいえ難解な部分も多くありました。
「この行動を司るのは脳のこの部分だ~」というような部分は興味深いけれど、半分も理解できたかどうか自信はありません。
「本に書いてあったことを説明して。」と頼まれても、きっとしどろもどろになってしまうでしょう(;´Д`)
私はこの本を図書館で借りたので一気に読んでしまったのですが、手元に置いて時々読み返し脳のクセを知る。知ることを気楽に楽しむのがおすすめです。
さて、筆者は「楽しくごきげんに生きる」ことをテーマにこの本を書いたといいます。
齢を重ねるとどうしても、物事を複雑に難しく考えてしまいがちです。
「自分は何のために生きているのか」という、子どもの頃には頭をかすめもしなかったことを、哲学者でもないのに考え、結局答えが見出せないまましんどさだけが残ってしまいます。
なぜいつも同じ失敗をしてしまうのか…と悩んでいたことが、この本を読み、そうしてしまうのが脳のクセなのだと知ることで、楽になれました。
自分の意志ではどうしようもないのなら仕方ないなと思えるし、脳とはこういうものだと知っていれば、意識的に脳が選ばない行動をすることもできます。
自分を客観的に見ることによって、思い悩んでいたことから解放される可能性があるのです。
必要以上に悲観的にならず、前向きな考え方にシフトしていければ、筆者のいう楽しくごきげんな生きかたができるようになるのではないでしょうか。
▶出力が大事
この本の中で衝撃的だったのは、心(意志)が体を動かしているのではないということです。
「え、そんなことあり得ないでしょ?」と私のような素人は思うのですが、まず運動ありきで、それに刺激されて脳がこうしようと考えているのだと認識するといいます。
複雑な脳の働きも、突き詰めれば、入力(身体感覚)と出力(身体運動)を司る器官にすぎないといいます。
※例をひとつあげるなら、「眠たい」と感じるのが入力、「横になる、じっとしているなど就寝の行動をとる」ことが出力になります。この文章だけ読んでもあまりピンとこないと思うので、是非この本を実際に読んでいただきたいです(*’ω’*)
そして脳はしばしば出力を省略しようとするそうです。
けれども重要なのは出力なのだということを筆者は強く訴えています。
脳は ある「情報」をどれだけ使ったか ということを基準に記憶していくそうです。
どれだけ多くの情報を取り込むことができたかではないのです。
▶人間は社会的動物だ
また、本当の自分というのは一人でいるときの自分か、他者といる時の自分かという問題が提示されていました。
私はこれまでそのようなことなど考えたこともありませんでした。
一人で熟考しているときの自分こそが真の自分だということは疑うべくもないことだと思っていたからです。
しかし、人間は社会的動物であることを前提にこの問題について考えると、確固たるものと思っていた自分のその考えはあっさりと揺らいでしまいました。
そして、「他者といる時の自分は本音を押し殺して窮屈だ。本当の自分の姿ではない。」という考えを改めることで、反対に楽になれるのではないかと思えました。
▶よりよく生きるということを脳科学の観点から考える
とにかく,脳は周りの環境に左右されやすい もののようです。
このような脳のクセを知ることで、必要以上に悩むことなく、よりよく生きることができるということを筆者は訴えたかったのだと思います。
自分の頭の中で考えたことが全て幻というわけではないですが、自分の作り出した「こころ」ばかり肥大し、その幻影に支配されるというのは、不健康です。
心が作り出したものだけにとらわれすぎないようにしよう!
そう教えてもらえた本でした(*´ω`*)