TSUTAYAの謎
▶世界一の企画会社TSUTAYA
最近何かと動向が気になるCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)代表取締役社長 増田 宗昭氏にifs未来研究所の川島蓉子氏がインタビューするという内容の本です。
私は知らなかったのですが、ifs未来研究所は、
100年先のはるかな未来ではなく、10年くらい先の身近な未来を視野に入れながら、日々、営む暮らしの中で、豊かさや幸せを感じる「モノ」や「コト」って何だろう。そんなことを考え、 研究・発信していくところです。
と、公式サイトのトップページにあり、ブランディングやトーク&セッション、出版などを行っているようです。
さて本題です。
いきなりですが、この本は私にとって少々読みづらかったです。
普段あまり対談形式の本を読まないせいか、この本のキーワードの一つともいえる「カルチャー」に私が疎いせいかもしれませんが、何を伝えたいのかということがわかりにくかったです。(;´Д`)
(でもそもそも、対談をそのまま掲載すればまとまっていないのが当然だろうし、それを読み取る力が足りないだけかもしれません。)
そういう点から消化不良なところもありましたが、私が知りたかった最近のTSUTAYAの動向と、どのようにTSUTAYAが誕生し成長してきたかという点は非常に興味深く読めました。
現在のTSUTAYAについて
TSUTAYAは新たなステージへとステップアップしている過渡期にあるようです。
私の知っているTSUTAYAではなく、より個性的な、明確なコンセプトを持つ店舗が次々とオープンしていっています。
それは❝「チェーン店」ではなく「個店」❞だと増田氏はいっているように、どの店に行っても同じではなく、それぞれ地域に密着した、そして個性的な店舗づくりがなされているようです。
増田氏は大学卒業後鈴屋というアパレルメーカーに就職し、青山ベルコモンズなどのファッションビルを立ち上げた経験もあるそうです。
別業界でサラリーマンとして働いたのちに、一代で、わずか30年でこれだけくまなく全国展開している書店へ成長させたということは驚きでした。
このような経歴から、文中でももしばしばアパレル業界と比較してTSUTAYAの事業紹介やこれから目指す経営方針などについて書かれてあります。
例えば、アパレル業界は成熟したステージ3でありブランド戦略が定着しているが、書店は現在ステージ2で、これからステージ3へと変わっていく必要があるそうです。
量を売るのではなく、どう提案していくかということを考える時にきているということです。
増田氏が一貫して述べているのは、「私たちは世界一の企画会社だ」ということです。
そして、企画の根底にあるのは人を幸せにしたいという思いであり、愛情なのです。
それを実現するためにも ❝「商売人」の根本は、「お客さんを見ること」にあり❞ と言っているように、お客さんが何を求めているかを探して提供する、コンシェルジュするという形態の店舗を展開していっています。
従来型の分類方法ではなく、あるテーマに対して関連したものを集め、ライフスタイルを提案するというやり方はショールーム的だと思います。
こういうモノがあるのか、このような捉え方があるのかといったワクワク感を得られるのではないでしょうか。
一方で具体的に「この本が欲しい!」というときに、どのコーナーを探せば見つかるかわからずに右往左往するというケースもあるようです。
実際にCCCが指定管理人となっている佐賀県の武雄市図書館では、「目的の本が探せない」という苦情も寄せられたようです。
同じ新規事業でも、それが従来の業界の形から外れていても、明らかに商売である「代官山蔦谷書店」、「函館蔦屋書店」、「湘南T-SITE」について激しい反対意見を聞くことはありません。
しかし公共事業である図書館の運営に対しては多くの批判が寄せられ、住民投票で可否が問われ計画が白紙になる、また今後住民投票が行われるなど、いばらの道と言えます。
この本が刊行されたのが2015年4月ですから、既に幾つかの問題は噴出していたはずですが、文中でその点にふれられることはありませんでした。
意図的に触れることを避けたのか、とるに足らない問題だとしているのか、この本のテーマにはそぐわないとの判断なのかはわかりません。
しかし、幾つかの批判が出たからと行って考えを変え、経営方針を転換するようなことはないだろうということを、この本を読んだことによって確信しました。
<まとめ>
「ライフスタイルによる分類」が受け入れられるのかに注目です。
「チェーン店」のTSUTAYAではなく、「個店」の○○蔦谷書店に行ってその空間を味わってみたいです(*´ω`*)