ニートの歩き方 - keronote’s blog

▶豊かな社会って何だろう

この本を読んでまず感じたのは、私は著者に共感できる部分が多いということです。

そもそも何か通じるものがあったからこそ、この本を手に取ったのかもしれませんが、ニートではない自分にも当てはまることが多かったのです。

例えば、できるだけ働きたくないという考え。

私は長い間働くことの意義を見いだせないでいました。

また、学校生活に真になじめないということ。

例えば、行事に一生懸命取り組むけれど、ある部分に関して無駄なことじゃないかと感じる冷めた自分がいて、心から感動したり、やりきったという気持ちがわいてこない自分が嫌でした。

小学・中学・高校は結構閉じられた世界だと感じるところがあって、そこからはみ出すこともなく、友達がいないわけでもなかったけど、何となく居づらいような自分らしさが出せていないような気がしていました。

その点、大学はとても自由でした。

皆で一斉に一つのことに取り組むというようなことがなく、とても楽で居心地がよかったのですが、自由が故にだらだらと過ごしてしまって、ここでもやっぱり、これをやった、学んだといえるものがありません。

最近ではそんな無駄な時を過ごしてしまった自分を後悔することが多くなって、「もし、あのときこうしていたら…。」という思いのループに陥り、辛さが増すばかりでした。

でも、phaさんは、大学を出てニートになった自分は、

そういう生き方しかできなかった

のだと断言しています。

その考えはとても自然に思えて、できなかった、頑張ってこなかった自分を後悔したり、空白の部分を埋めたくて焦る気持ちを静め、今の自分を認めよう という気持ちになれました。

人間は誰でも何かに依存しているものだし

という言葉も、自分がしっかりしなくては、自立しなくてはと思って視野が狭くなり、息苦しさを覚えているところから救ってくれる優しい言葉です。

もっと肩の力を抜いていいんだよって言われているようで、少し”楽”になれました。

著者は、少数派（マイノリティ）を許容できる社会が、正しい国家社会のあり方ではないかということを、柔らかく述べています。

決して「自分はこう思う！」と激しく主張しているわけではないからこそ、自然にその考えに共感するし、多くの普通の人に共感してもらえたらいいなと願います。

「働かざる者食うべからず」の正しい意味も知らなかった私。

（これはレーニンの言葉で、働かずに労働者を搾取して肥え太っているブルジョアを攻撃するときに使われる言葉だったそうです。）

著者は俗に使われるこの言葉でもって、批判されることも多かったようです。

それでも共感する人が多いからこそ、ブログから書籍化まで至ったのだし、書籍化に協力してくれた人として、多くの人の名前を挙げています。

私はこの本を図書館で借りたのですが、長い間貸出中でした。

それだけこのテーマに関心を持つ人が多いことがわかります。

この本からいろんなものを認めたり、ちょっとしたことは流そうよという、ゆる～い優しさを感じました。

本当に豊かな社会とは何なのかということを考えさせられ、他人と違う自分を認めるきっかけを作ってくれました。

この本にはニートの暮らし方が載っていて、本気でニートを目指している人（？）にはかなり実用的だと思われます。

ちなみにニートに必要なものは、家とインターネットと食べ物だそうです。

けれど、決して「ニートのすすめ」が載っているわけではありません。

ニートで何が悪い！というようなとんがった考えはないし、みんなニートになろう！と煽っているわけではないのです。

ニートになるしかなかった人を認め、社会の一部だと認めるのが正しい社会のあり方だということを、様々な観点や歴史をひもときながら綴っているのです。

それらは著者が読まれてきた多くの本に裏打ちされた事実であったり、そこから得た考えで、とても説得力があります。

（二十数冊もの本が紹介されているので、是非それらを読んで、筆者の考えの源を知りたいと思います(*´ω｀*)）

自分がこれまで感じてきたもやもやを言葉にしてくれたことで、ゆるさの中に爽快感を感じました。

phaさんの今後の活躍も楽しみです！

ご本人はあまり精力的に活動したくないでしょうけど…(´艸｀*)

＜まとめ＞

ニートも社会の一部

みんなちがってみんないい（金子みすゞ）