尾道向島プチ旅行 ウシオチョコラトル~スリール
2月初旬のちょっと暖かな日、尾道市の向島に行きました。
目的はチョコレート工場兼カフェの、 「ウシオチョコラトル」 。
冬になり、そして2月ともなると、バレンタインの月ということで、一層チョコレートが恋しくなる季節なのです。
■チョコレート工場への道のり
そんなこんなでチョコレート熱が高まり、前々から行きたかったウシオチョコラトルへ行くことを決心しました。
といっても、車で30~40分で行けるところなので、決心するほどのことではないのですが、いつでも行けるところほど行かないものなのです…。
チョコレートは午前中には売り切れることもあるということなので、早めに家を出ることにしました。
モーニング等を提供しているところならともかく、大抵のショップは開店時間が10時から、下手をすると11時からというところもあるなか、何とこのお店は9時オープン。
何て素晴らしい!!
辺鄙なところ(失礼…)にあるにも拘らず、早くから営業されているのは嬉しい限りです。
店は高台にあり、やや狭い道を通るようだということはネットで調べて分かっていました。
Googleマップでナビをしながら行き、途中まで順調だったのですが、あと少しというところで、かなり大きな店の看板を見逃してしまいました。
でも、Google先生について行けば間違いないさともう一本の道を通ったのですが、これはかなりハードでした…。
車1台(軽自動車ではありません)ギリギリ通れるくらいの道で、運転に自信がない私は裸足で逃げ出してしまうような細さです。
もし、途中で行き止まりになっていたらかなりの距離をバックしなくてはならない!と思うと、そっちの方が恐怖に感じました。
何とか建物が見えてきたと思ったら、道はほぼ180度のクランク。
一度、駐車場らしきスペースで向きを変えなくては登れません。
やっとの思いで辿りついたときは、ホッとしました。
さて、目的地らしきところにあるのは、町の公民館のような建物です。
民家は麓のほうにあるのに、どうして集会所のような皆が集まる施設をわざわざ高台に建てたのだろう…と、余計なお世話なことを思いつつ、恐る恐る足を踏み入れてみました。
■ウシオチョコラトル
目的のチョコレートショップは、どうやらこの公民館?の2階にあるようです。
9時半頃に着き、お店は元気に営業中でした。
チョコはどこだろう?と見回すと、一番奥がレジカウンターで、そこにチョコレートが置いてありました。
本日のチョコは3種類。
お店の方に説明をしてもらったのですが、記憶力と集中力が足りないので、「酸味が…、○○産の豆が…」と言われたことを朧げにしか覚えていません…。
試食があるので、食べればわかるさ!と、3つ共食べてみました。
2種類がクランチ入りだったので、そのうちの1つグァテマラと、スタンダードなハイチを買いました。
どちらも酸味が効いていますが、グァテマラのほうがより酸味があります。
そしてクランチはよくあるそれとは違い、ココナッツファインのようなかなり細かいしゃりしゃりとした触感のクランチでした。
10cmほどの六角形の板チョコで、お値段は1枚800円。
大量生産できないことを考えると、妥当な価格だと思います。
チョコの模様もパッケージもおしゃれで、見るだけでもワクワクします。
ここで作っているチョコレートは、牛乳やバターなどの乳製品を使用していないということで、どれも口の中ですっと溶け、後口がスッキリとしています。
さて、せっかくここまで来たし、高台から臨む、民家と瀬戸内海ののんびりとした風景がとても綺麗だったので、ドリンクメニューも頼むことにしました。
ホットチョコレートは売切れだったので、私はホッとカカオミルク(だったかな?間違っていたらすみません。)を注文しました。
出てきたドリンクは、ふわふわのミルクの中に、つぶつぶしたものが入っています。
飲んでみると、とってもスパイシー。
ジンジャークッキーのような味だったので、クローブかカルダモンが入っていたのだと思います。
ミルク臭さと甘ったるさを程よく抑えてくれているようでした。
店員さんはおしゃれでしたが、お店はおしゃれ過ぎず、適度に力の抜けた不思議な空間でした。
様々な種類の椅子やソファーがあり、中には保育園児用の椅子らしきものもありました。
天井からパーティーグッズの鼻眼鏡が吊るしてあったり、昔の喫茶店のように少し古めの漫画が置いてあったり、昭和な感じの扇風機などが置いてあったり…。
何だか異世界に迷い込んだような、ここだけ時間が止まったような感覚に陥ってしまいました。
さて、このウシオチョコラトルからそう遠くないところにパン屋さんがあるというのもネットで調べていたので、行ってみることにしました。
■地域密着のパン屋、スリール
今度は普通の山道を下りて、海沿いを走るとすぐにそれらしき建物が見えてきました。
先ほどの店から車で5分程度の距離です。
小ぢんまりとしたマリーナの一番奥の行き止まりに、目的のパン屋さんはありました。
遠くから見えていたサーフボードらしきものは、もっと大きなボートでした。
このお店はサイクリスト達の立寄所的な役割も持っているようで、それを示す看板が店の外にありました。
お店は小さいながらも、20数種類のパンが並んでいました。
その中で私が「おいしい!!」と感動したのが、あんぱんです。
見た目は普通ですが、生地はかみしめるほど旨みが広がり、おいしくて思わず笑みがこぼれてしまいました。
中のあんの甘みも絶妙で、もっと沢山買えばよかった…と後悔したほどです。
レジ横に並んでいたアイスボックスクッキーも、絶品でした。
この店は移動販売もしているようで、お店の方が出発の準備をされていました。
私がいる間に、おじいちゃんと孫、近所のおじさんといったお客さんが来られていたし、おしゃれだけど地域に根付いているいいお店だな~と、ほんわかした気持ちになりました。
チョコレートショップといい、パン屋といい、時間の流れが本当にゆっくりに感じられました。
そのゆったりと流れる時間と穏やかな瀬戸内の風景はジブリの世界に迷い込んだようでした。
ジブリといえば、お隣の福山市鞆の浦は、「崖の上のポニョ」のモデルになったそうですが、ここがモデルだよと言われたら、それも本当だと思えるような雰囲気の場所です。
穏やかな船着き場があり、元気なお年寄りたちがいる。
まさに、ポニョの世界じゃないかと思ったのです。
私は元々田舎育ちなので、どちらかというと、都会の様々なものが入り混じった、にぎやかで混沌としたものに一種の憧れを持っていました。
休日は田舎でのんびりといったワードに魅かれることはなかったのです。
でも、自分が齢をとったからなのか、こういった風景や時間の良さに、初めて気づいたような気がします。
永遠に変わらないもののように思えて、実は貴重なものなんだな、と。
美味しいものを食べ、素晴らしい景色を見て、心の成長も感じた向島プチ旅行でした。